建設業という業界で働くにあたって、法律であらゆる決まりごとが細かく定められていますが、中でも重要となってくるのが「建設業法」です。
建設業法では、建設業におけるさまざまな事柄が定められています。今回は建設業法と、建設業における工事完了報告書について説明します。
建設業法とは?
まず建設業法とはどのような内容なのでしょうか。
簡単に内容を見てみましょう。
建設業法の第一条で述べられている内容は以下の通りです。
「この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。」
内容をまとめると以下のようになります。
まず、建築業法を通して達成したい内容は以下の4つです。
- 建設工事の適正な施工を確保
- 発注者を保護
- 建設業の健全な発達を促進
- 公共の福祉の増進に寄与する
中でも、目的④の「公共の福祉の増進に寄与する」ことが究極の目的であるとされています。
そしてこの4つの目標を達成する手段として
- 建設業を営む者の資質の向上
- 建設工事の請負契約の適正化などを図ること
の2つが挙げられています。
つまり「2つの手段を通して、4つの目標を達成しよう」ということが定められている法律であるといえるのです。
参照:国土交通省「建設工事の適正な施工を確保するための建設業法 (令和3.3版)」
建設業法における「建設工事」の定義
次に、建設業法における「建設工事」の定義について見ていきましょう。
建設業法では29種類の工事を「建設工事」として定めています。
29種のうち一部を挙げると
土木工事、建築工事、大工工事、とび・土工・コンクリート工事、石工事、屋根工事、電気工事、管工事、タイル・れんが・ブロック工事など・・・
そのためほとんどの工事が「建設工事」に当てはまっていると考えて問題ありません。
これらの工事を行った際に、提出しなければならないのが工事管理報告書です。
ここからは、工事完了報告書について詳しく見ていきましょう。
工事完了報告書とは
建設業においては、工事が完了した際に元請業者に完了したことを伝えるため、工事業者は工事完了報告書を作成・提出します。
工事完了報告書の記載項目と注意点
工事完了報告書の基本的な記載項目と、記載項目における注意点について見てみましょう。
- 工期
工期は、工事が行われる期間を記入します。 - 工事現場
ここでは工事を行ったお宅やビル名などと、その現場の住所を記入します。
工事部分に関しては実際に工事を行った箇所を記入します。書き方の例としては「リビングの床修繕」というように、具体的に記載します。 - 金額
工事の請負契約を結んだときに決定した請負金額を記入します。
また、契約の際に「請負金額には材料費が含まれるか」というように、何がどこまで請負金額に含まれているのか確認しましょう。
もし材料費が含まれている場合の注意点としては、「明細を記載すること」「領収書や納品書をきちんと保管しておくこと」です。
利用内容が記載されていたとしても領収書や納品書がないと承認されず、費用がもらえない場合もあるため注意が必要です。
また領収書などをもらうときには現場名を書いてもらうことも忘れてはいけません。現場の記載がない領収書では、材料費として認められない場合もあります。 - 工事完了写真
元請業者によっては工事完了写真の提出を求められることがあります。
工事完了写真は工事を適切に行った証明になり、のちにトラブルや不備が発生した際に活用されるためです。
特にここで注意すべき点は、修繕・改修工事においては工事後だけでなく工事前の写真も撮影しておくことです。
新築工事においては工事完了後の写真だけでもさほど問題はありません。しかし修繕・改修工事の場合は工事前の写真がないと、どこをどう工事したのかが分かりにくいためです。
建築業法における書類の保存の重要性
書類の保存期間は建築業法で定められています。
もし書類が溜まってきたからと言って書類を廃棄してしまうと、以下のような問題が発生する恐れがあります。
- 法令違反にあたる恐れ
建設業法においては「国土交通大臣と都道府県知事は、必要に応じて建設業者の財産、工事の状況、帳簿書類、その他の物件を検査させることができる」と定められています。
そのため万が一書類の提出を求められたときに書類を提出できないと、法令違反となってしまう恐れがあります。
- 証拠書類・証明書類がない
施工後にトラブルが発生した際に証拠となるのは書類です。書類は写真なども添付してあり、工事時に工事を適切に行ったことを証明する重要な書類となります。
さらに建築現場では工事が原因で従業員が怪我や病気などになることもあります。けがや病気の中には塵肺や騒音性難聴のように、すぐに症状がでないものもあります。そこでのちに従業員が工事が原因でなんらかの怪我や病気になった際に、その従業員が従事していたことを証明する書類にもなります。
そのため書類を保存しておくことが重要であると言えます。
以上から、工事完了報告書においても保存しておくことも非常に重要であることが分かります。
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