工事写真とは?
あらゆる工事において、その工事の進行状況や進行内容などすべての過程と工事を適切に行ったことを証明する必要があります。そこで証明する際に証拠となるのが工事写真です。
工事写真では、工事の着工前から完了までの各施工段階における施工状況や過程を記録し、当該工事が正しく行われているかを確認することができます。この写真は問題が起こった際の証拠になるだけでなく、施工後に問題が発生した場合や工事後の維持管理にも用いることができます。 一言で工事写真と言っても「土木」「建築」「電気」など業種ごとに撮影項目が異なります。そこで今回は「電気工事」にポイントを絞って、工事写真を撮る目的や方法などを説明します。
工事写真を撮る重要性
工事写真はなぜ重要なのでしょうか?ここでは工事写真の役割について見ることで、工事写真の重要性について見てみましょう。
工事写真を撮影することによって、完成後見えなくなってしまう部分や、全ての施工過程が適切に行われたことを証明するために必要です。 工事写真の役割は以下の5つが挙げられます。
- 施工過程の記録
- 使用材料の記録
- 品質管理の確認
- 完成後の維持管理の資料
- 問題発生時の資料
電気工事写真の撮影内容
工事写真を撮る際には写真の中に含める要素が定められています。これは電気工事においても同様です。撮影する内容については以下の7つです。
- 工程・加工の前後
- 工事箇所
- 工事種目・分類
- 撮影年月日
- 施工方法・施工状況
- 規格・寸法・表示マークなど
- 立会人・請負業者
これらの要素を工事写真内に含める必要がありますが、写真のみだと分かりにくい場合もあると思います。その場合は縮尺や説明を書いた黒板も一緒に撮影します。
電気設備工事における撮影対象について
気設備工事を含むあらゆる工事全般について、文部科学省が『工事写真撮影要領』を定めています。ここでは工事種目、または分類別に撮影項目とその撮影対象について説明されています。 今回は電気設備工事の中でも一般事項の撮影項目とその撮影対象について説明します。
- 着工前の状況
撮影対象:敷地、周辺の状況など - 改修前の状況
撮影対象:改修前の状況 - 工事現場管理
撮影対象:工事関係者表示標識などの提示状況 / 養生(既存施設および工事目的物の施工済み部分) - 安全対策
撮影対象:工事現場内や、第三者・周辺対策などの実施状況 / 法令に基づく措置状況 - 環境対策
撮影対象:騒音や振動対策などの実施状況 / 法令に基づく措置状況 - 障害物
撮影対象:障害物の位置、寸法、形状など / 障害物の処理状況と処理後の状況 - 発生材
撮影対象:分別状況 / 搬出業者名が分かるようにした搬出状況 / 廃棄場 - 仮設
撮影対象:機材置き場や足場などの状況 / 指定仮説の状況
出典:文部科学省ホームページ
電気設備工事の工事写真における注意事項
工事写真には禁止されている点や注意すべき点があります。
工事写真の編集は行わない。
工事写真の編集は原則禁止されています。この理由としては、工事写真は資料や証拠として利用されるためです。そのため編集してしまうと資料や証拠としての信頼性を失うことに繋がります。
撮影計画を立て、不可視の部分の撮り逃しをなくす。
一度施工してしまうと、中を壊さない限り確認が不可能という部分もあります。そのためあらかじめ撮影計画を立てて写真撮影が必要な部分をまとめておくことで、撮り逃しをなくし、資料や証拠として役に立つ工事写真を撮影することができます。
写真を撮影したらすぐに確認する。
工事写真を撮影したらすぐその場で確認する必要があります。写真撮影をした際に、必要なものが写っていない、不要なものが写り込んでいる、光の加減で見づらいなどといった理由で、写真が十分な証拠や資料として使えない場合があります。前述の通り、画像を編集することは禁止されています。そのため撮影した工事写真が適切でない場合はその場ですぐに取り直す必要があります。
まとめ
ここまで工事写真の重要性と電気工事の施工における撮影対象などを見てきました。工程ごとに工事写真をきちんと撮ったものを提出することで、適切な工事をしているという証明にもなるため、業者としての信頼度も上昇するでしょう。
あらゆる工事において工事写真は必要不可欠であり、それは電気工事においても同様です。電気工事における撮影基準や撮影対象物をしっかりおさえることで、適切な工事写真を撮影していきましょう。
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